相双地域で実際に就農した方や先輩就農者にインタビューしてみました。農業経験がまったく無かった若い力も続々と活躍しています。
福島県双葉郡浪江町で米づくり。若き農業経営者が抱くビジョン
浪江町 半谷啓徳さま

浪江町でお米の専業農家として奮闘する、新規就農2年目の半谷啓徳さん。 約5年前に一般企業を退職し、(株)吉野家ファーム福島で水稲、白菜、玉ねぎ、キャベツなどの生産に従事した後、昨年に実家の田んぼを受け継いで独立就農を果たしました。
「うちの田んぼがある酒田地区の除染は表土を剥ぎ取って山砂を入れたので、均平もとれていないし田面も低い。田んぼの状態は予想以上に悪かったです」と話す半谷さん。通常なら1時間で終わる代掻きに半日かけるなど、時間と手間をかけて田んぼのコンディションを整えてきました。就農1年目のお米の収穫を終える頃、もともと同町で酒造店を営んでいた『鈴木酒造店』(山形県長井市)から「浪江の米で酒を仕込みたい」と連絡を受けました。 半谷さん自身の手で初めて育てた18俵のコシヒカリは同店の蔵に届けられ、日本酒として大切に醸造されました。
この縁がきっかけとなり、半谷さんは醸造用のお米の契約栽培を開始しました。また、同店から酒粕と米糠を発酵させたペレットの提供を受け、自宅前に広がる田んぼに入れる試みをはじめました。 「除草効果や土壌の改善効果があるといいますし、食品由来の原料ですから自然環境にも人の体にも優しいこのペレットに期待しています」と、半谷さんは話します。 現在は、コシヒカリを主軸に天のつぶ、みつひかり等の4品種を栽培しています。
「どんなに世の中が進化しても、農業は無くならないと思うんです。まずは、自分の農業経営を安定させ、この土地でずっと長く農業を続け、 将来的には農業をやりたい、農業に興味があるという方の受け皿になれるよう、規模を拡大していきたいです」と、展望を話してくれました。
