心和む高原の里・福島県葛尾村 風光明媚な景観と抜群の過ごしやすさ

福島県双葉郡(浜通りエリア)に位置し、日山(天王山)、五十人山、竜子山などの阿武隈山系の広大な山々に囲まれた葛尾村。村は11の行政区に分かれており、それぞれの地区に特徴的な文化や風景があります。東京電力福島第一原発の事故に伴う全村避難が一部地域を除き3年前に解除された同村では、『美しい農がある風景』の再建へ向けて歩みを進めています。

目次

葛尾村ってどんなところ?

年間平均気温10・4度と冷涼な気候の葛尾村では、昼夜の温度差を生かした水稲栽培や、古くから営まれてきた畜産などの農業が盛んです。夏の気温はあまり高くならず、降水量が少ないのが特徴で、風も弱いため高地としては過ごしやすい条件に恵まれているといえます。

2011年に発生した東日本大震災及びそれに伴う原子力災害により全村避難を経験した同村ですが、2016年6月の帰村(一部地域を除く)が始まって以来、復興は徐々に進んでいます。商業店舗や医療施設などが再開し、生活環境水準は震災前とほぼ同じ状態に戻りました。近年では交流人口の拡大や新産業の誘致、子育て世代へのサポートにも力を注いでいます。

少人数ならではの教育体制も同村の強みの一つです。幼稚園、小学校、中学校は連携した教育が実施されており、常勤外国語指導助手による英語教育も充実しています。就園、就学に係る学用品費、給食費、制服費等を支給する制度もあります。

葛尾村で初めて小菊栽培に挑戦! 就農2年目・齊藤洋平さんが描く、農業のカタチ

齊藤洋平さん

葛尾村出身の齊藤洋平さんが就農したのは東日本大震災がきっかけ。以前は建設業界に身を置き、全国を飛び回っていた齊藤さんですが、「この村を復興していくためには、若い世代の活躍が不可欠」と、これまで経験のなかった農業を軸に、村で生きていくことを決めたといいます。

もともと、実家が水稲や葉タバコの栽培を営んでいましたが、より効率的に収入を確保するため、就農を契機に、栽培品目を一新しようと考えた齊藤さん。葛尾村でも作れる品目を探るべく、震災後は福島県内を巡って情報収集したとのことで、そこで出会ったのが、会津エリアで盛んなアスパラガスと、田村市で盛んな小菊栽培でした。

齊藤さんの小菊畑

「(葛尾村は)山間部で寒い地域なので、花を作るには最適な場所ではないかと思いました。機械を駆使した現代的な農業方法に魅せられたのも理由のひとつです」。

同村で初めて、小菊の栽培に挑戦した齊藤さん。近隣で開催される農業講習や勉強会などにも積極的に参加し、よりよい品質を追い求めてきました。他地域での取り組みや、ベテラン農家の知見も吸収し、就農一年目から市場へ出荷。同村の新規就農者にも小菊栽培の優位性を伝え、地域の仲間も増やしているといいます。

もちろん、うまくいくことばかりではないのが農業の常。今年は梅雨が長引いた影響で、小菊の品質が振るわなかったといいます。「お天気勝負なのは農業の宿命。この経験を生かし、来年は雨と病気に強い土壌を作れるよう試行錯誤していきます」。

「何事にも失敗はつきもの。そうした経験をいかにして次につなげるかが重要」と、齊藤さんは言葉をつなぎます。「(自分の畑では)雨によって品質に影響が出ましたが、栽培方法などを参考にしている田村地域の小菊はさほど雨の影響は出ていませんでした。その理由を探ることも、農業の楽しみの一つなのかもしれません」。前だけを見据えて語る齊藤さんの姿からは、心から同村での生活と農業を楽しんでいる様子がうかがえました。

出荷前の小菊

酪農や水稲も盛ん。地域が就農をバックアップ

松本勝好さん

古くから、水稲や畜産が基幹産業とされてきた葛尾村。同村の農業情勢を村役場地域振興課地域づくり推進係の松本勝好主査に伺いました。

「葛尾村は農業・畜産業を営むには適している場所だと思います」。村は畜産農家が継続して繁殖畜産経営を続けることができる基盤の支援と、畜産所得安定をしてもらうことを目的に、優良繁殖雌牛導入を希望する者に対し、購入費用の一部を補助する事業を展開しています。また、水稲を営む上で欠かせない育苗の補助事業など、村独自のサポート体制が敷かれ、農家をバックアップする体制が整備されています。

古くから営まれてきた水稲や酪農を基幹産業としながらも、小菊やエゴマなど、多様な農業の構図が描かれる葛尾村。広大な山々に囲まれた風光明媚な環境下で農業を始めたいと思っていただいた方はぜひ、お気軽にお問合せ下さい。

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【問い合わせ先】
葛尾村地域振興課地域づくり推進係
〒979-1602
福島県双葉郡葛尾村大字落合字落合16
TEL:0240-29-2113
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