【福島県飯舘村】自然と人情味に溢れた「いいたて村」で“までいな暮らし”を楽しみませんか

阿武隈高地北部の中山間地に位置する飯舘村。夏季には冷たい「やませ」が吹き付け、冬になるとダイヤモンドダストも見られるなど大自然の営みを体感できる村は、原発事故によって約6年にわたる避難指示解除を経て、復興に向かっての歩みを続けている最中。新たな形でスタートを切った村の農業の模様や支援体制について、営農再開者や村の担当者の声を交えて紹介していきます。

目次

美しい四季と、地域に根ざした「までい」ライフが自慢の阿武隈高地の村

福島県浜通り北部の阿武隈高地の中腹、新田川の上流に位置する中山間地の村が飯舘村です。標高が約500mと高いため、温暖な福島県浜通りの中でも平均的に涼しく、北海道、北関東、長野県を混ぜ合わせたような気候風土となっています。「大切に」「じっくりと」「心をこめて」「時間をかけて」「手間暇を惜しまず」といった意味で使われる「までい」という方言で表現されるように、絵に描いたようなスローライフが村の暮らしの基調となっています。

花塚山からの眺望

村では農業が基幹産業として昔から盛んで、冷涼な気候を生かした花きや野菜の生産にくわえ、村産の黒毛和牛が「いいたて牛」としてブランド牛の地位を獲得した畜産が活発に行われていました。しかしながら、村は2011年の東日本大震災に伴う原発事故の影響を受け、全村民が村外に避難。約6年を経て、2017年に一部を除き避難指示が解除されたことを受け、避難していた村民たちによる営農活動の再開が進んできました。さらに移住して就農する者も出始め、村の農業も活気づいている状況です。

避難中も手入れを続けてきたブルーベリーが高い評価を受け、東京の人気店のジェラートに

村では高地の気候を生かしてのブルーベリー栽培が活発でしたが、高品質なブルーベリーで新たな販路獲得に成功したのが瀧本和子さんです。

瀧本和子さん

瀧本さんは15、6年前からブルーベリーをはじめ、梅やプラムなど、果樹を自宅から庭続きの畑で植え始め、ブルーベリーはさまざまな品種のものを約200本まで増やしてきました。震災により村に隣接する南相馬市へと避難することになり、現在も生活拠点はそちらに置いていますが、避難中も立ち入りが許可されてからは毎日のように通って手入れを続けてきたそうです。
2018年6月には県のモニタリング検査に合格したことにより、このブルーベリーを広めたいと考えた瀧本さんは、村の農政担当者の助言を受け、相双地域の生産者と飲食店等とをつなぐ国の復興事業を活用。そこで瀧本さんのつくるブルーベリーは東京都杉並区の人気イタリアンジェラート店のオーナーから高く評価され、「全量を買い取る」という申し出を受けたとのこと。
瀧本さんは「今回は急に話が決まり準備できていませんでしたが、来年からはしっかりと剪定して倍ぐらい出荷できるようにしたい。」と意欲を高めています。

帰村後にまったくのイチからカスミソウ栽培を開始。新たな産地化を目指す

避難前には水稲や葉タバコ、ブロッコリーの栽培を行っていた菅野徳子さんが、仮設避難所から村の自宅に戻ってきた後、村から生産の提案を受けたのがカスミソウです。

菅野徳子さん

カスミソウは、結婚式用の切り花などに重宝される花で、販路が安定していることや、生産者の高齢化に対応した比較的簡単に栽培できる品種の改良が進められてきたことなどから、県内の種苗会社が村での営農再開にあたって栽培を提案。村の担当職員がかつて多くの花き農家がいた関根・松塚地区の住民に相談した際に応じたひとりが菅野さんです。菅野さんたちは4名のメンバーでカスミソウの生産組合「いいたての花」を結成。種苗会社の技術指導を受ける形で、全国でも珍しいカスミソウの露地栽培に取り組み、2017年7月には初出荷。以降、品質もどんどん向上させており、新たな産地化へという期待も高まっています。
「受け継いできた土地を荒らしたくないという気持ちが一番。カスミソウを村の復興を彩る花にして、組合の仲間も増やしていきたい。」と菅野さんは話してくれました。

新規就農を村を挙げて支援。新たなキャンパスに思い描く絵を

飯舘村では、避難指示解除直後の2017年に「飯舘村営農再開ビジョン」を策定。ステップ1「農地を守る」、ステップ2「生きがい農業」、ステップ3「なりわい農業」、ステップ4「新たな農業」と4ステップの取り組み方と、どのステップからでも取り組めること、そして、どのステップにも支援策があることを示しました。しかし、現在4000haを超える村の農用地の9割以上は保全のみにとどまっており、村としても、新たに土地利用を希望する人を求めている状況です。そこで、村は、「移住・定住・交流」を強力に推進する方針を打ち出し、就農者への農用地の斡旋や、集落等とのマッチングも含めて総合的な支援を図っています。

村の復興対策課の杉岡さんは、「飯舘村は震災により真っ白なキャンパスとなりました。しかし、被災地であるからこそ、就農希望者の希望に沿った農地を探すこともできます。今少しずつこの真っ白なキャンパスに新たな絵を描く人たちが出てきていますが、あなたも思い描く農業をこの村で実現してみませんか?」と、就農希望者へのメッセージを話してくれました。

2018年12月24日(祝)仙台にて開催の「マイナビ就農フェスト」にも出展します。
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【お問い合わせ窓口】
飯舘村役場 復興対策課 農政第一係
〒960-1892 福島県相馬郡飯館村伊丹沢字伊丹沢580-1
TEL 0244-42-1621 FAX 0244-42-1600
E-mail nousei@vill.iitate.fukushima.jp
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