【農業体験 in 福島県相馬地域】実践的に農業を学びたい!進路を見据えて選んだ、農業法人での農業体験

就農には独立就農と雇用就農の2つの選択肢があります。農業法人の一員として技術を磨き、ゆくゆくは独立就農を目指す体験者は、農業体験を通じてどのような学びを得たのでしょう。南相馬市のサポートのもと、3日間の体験プログラムに参加した体験者の率直な感想を紹介します。

目次

農業体験に南相馬市を選んだ理由

福島県郡山市出身のAさんは、県内の農業短期大学校で農業を学んでいます。非農家出身のAさんが農業に興味を持ったのは、小学生の時に出会ったアニメ「銀の匙 Silver Spoon(ぎんのさじ シルバースプーン)」がきっかけなのだとか。

「アニメが好きだったこともありますが、農業を通じて登場人物が成長してく姿に影響を受け、いつからか将来の職業に農業を考えるようになりました」

Aさんは7歳の時、未曾有の被害をもたらした東日本大震災を経験。通っていた郡山市内の小学校では、津波や原発事故など福島県の中でも被害が大きい相双地域から避難をしてきた児童を受け入れていました。南相馬市出身の同級生と仲良くなったAさんは、同級生が語る相双地域の文化や自然に興味を抱くようになったと言葉を続けます。

「南相馬市から避難してきた友達は、のどかで暖かく、自然が豊かであること、食べ物が美味しいことなど、震災前の豊かな相双地域の暮らしを教えてくれました。テレビや新聞などで復興へ歩みを進める地域人たちの姿を見て、自分も役に立ちたいと思い、何が一番復興につながるかを考えました。その結果、導き出したのがその土地に住んで、働くことです。やがて、子供の頃から興味を抱いていた農業を、南相馬市ですることが私の目標になりました」

高校卒業後、県内の農業短期大学校に進学したAさんは、トマトやキュウリなど果菜をメインに学んでいます。中でもトマトの施設栽培に強く興味を抱き、日々、研鑽に励んでいます。

実践的な学びを求め、農業体験に参加

さらなる学びを求め、Aさんはトマトの施設栽培での農業体験を希望します。エリアはもちろん、相双地域。調べを進める中、南相馬市内で1.5ヘクタールもの広大な圃場(ほじょう)で、ミニトマトの施設栽培をする南相馬復興アグリ株式会社の存在を知りました。

オランダ式の最新の温室を有する南相馬復興アグリでは、コンピュータ制御の溶液でミニトマトを栽培している

「最初は学校を通して農業体験の受け入れをお願いしていたのですが、福島県相双地域が実施しているインターンシップ制度があることがわかり、申し込みをしました。受け入れ先とのマッチングや日程調整、宿泊、送迎など手厚くサポートしてくれたおかげで、体験期間中はなに不自由なく、体験に集中ができました」

行政の手厚いサポートのもと、Aさんは3日間の農業体験に参加しました。

スケジュール


■1日目
・パック詰めされたミニトマトを冷蔵庫に搬入
・納品先ごとのシール貼り

収穫したミニトマトは、福島県や宮城県内のスーパーマーケットなどに出荷される

■2日目 
・収穫作業
・管理作業(※葉かき)
※葉を取り除き、風通しと採光を良くすることで光合成の効率を向上させる作業

スタッフの指導のもと、さまざまな作業を体験

■3日目 
・収穫作業
・管理作業(つるの処理)


Aさんが体験先に南相馬復興アグリを希望したのは、ミニトマトの施設栽培を体験できるほか、栽培から流通、販売までを一貫して行う同社の生産体制にひかれたことも大きな理由です。

「市場出荷とは異なり、自社ブランドとして直接小売店に納品し、消費者に届けられることに魅力を感じました。また、独自で配合する肥料の自動施肥や灌水(かんすい)、栽培管理システム、スマート農業への取り組みなども驚くものばかり。本当に学ぶことがたくさんあった農業体験でした」

センシング技術やオートメーション化を積極的に導入している南相馬復興アグリの最新鋭の技術に触れたAさんですが、3日間の農業体験を通じ、それらを支えているのは人の経験と技術であることを改めて実感したと話します。

※センサーなどを使用し、温度、照度、水分量などさまざまな情報を計測して数値化する技術

収穫作業を指導する農場長の成川さん

「いくら機械化が進んでいても、収穫作業は人の手で行われます。低い場所で中腰になる作業が多いため、体力はやはり必要です。ミニトマトは色見本を参考に収穫の判断をしますが、スタッフさんの素早い判断は経験からくるもの。学校でも施設栽培を学んでいますが実際に見て触れて、やってみることで実践的な学びができたと思います」

キラキラと目を輝かせながら農業体験の感想を話してくれたAさん。その表情からも充実した3日間だったことがうかがえます。

農業にどこまで本気で向き合えるか。農業体験は判断の入口になる

農場責任者として、約60名のスタッフを束ねる成川さん

今回、農業体験を受け入れた南相馬復興アグリ株式会社の設立は2013年。南相馬市の農業復興と農業経営人材の育成を目指し、太陽光を利用した環境制御型養液栽培で2015年よりミニトマトの生産を展開しています。農場長の成川 陵(なりかわ・りょう)さんは、最新鋭の設備があっても、それらは自然と人を補うものにすぎないと話します。

1.独自配合した肥料を水で薄め、圃場に自動施肥
2.圃場環境を感知するセンサー
3.自動施肥や灌水などの作業は栽培責任者がデータ管理をして行っている

「センサーにより温度管理や屋根の自動開閉、栽培管理のデータ化など確かに当社はオートメーション化が進んでいると言えます。しかし、農業は露地栽培でも施設栽培でも自然との共存です。夏場は暑い中での作業となり、収穫は手作業です。体験者にはぜひ、農業の厳しさにも向き合っていただきたいと思います」

高所の作業はリフトに乗って行う。同社では約9300株のミニトマトを栽培している

農業従事者の高齢化や担い手不足を補うため、国ではスマート農業の普及に取り組んでいます。しかし、高額な機器やシステムの導入は、個人経営の農家には難しいのが現状です。Aさんのように、これからの農業を担う未来の農業人がスマート農業に触れるには、南相馬復興アグリのように、設備が整った法人での研修が現実的と言えます。

どんなにスマート農業化が進んでも、農業を職業とするには強い覚悟が必要と、成川さんは話します。

「農業は常に自然と向き合う仕事です。判断を誤り、自分の手で作物をダメにしてしまうこともあるかもしれません。自分がどんなに頑張っても、天候など自然の影響で望んでいた結果が出ないこともあるかもしれません。厳しい世界ではありますが、汗を流して働くことは気持ちが良く、成果が目に見えやすいことで、面白さ・やりがいもあります。農業体験は、自分がどれだけ農業に真剣に向き合えるかを見極める時間にもなるでしょう。技術や知識以上に、農業をやっていく強い気持ちを持った方と一緒に働きたいですね」

成川さんの言葉に真剣に耳を傾けるAさんは、農業短期大学校卒業後は農業法人への就職を希望しています。雇用就農でしっかり経験を積み、ゆくゆくは独立就農を目指す方針です。

目指す農業がきっと見つかる!相馬地域の農業体験プログラム

福島県相馬地域が実施する農業体験では、Aさんのように1カ所の体験先で集中的に学ぶ方法と、複数の体験先で異なる作物を体験する方法を選択することができます。
学びたい作物や内容をしっかりとヒアリングした後、受け入れ先農家をマッチングするので、希望に合った体験ができるのが魅力です。
スケジュールは「2泊3日からOKの短期体験」と「しっかりじっくり学べる14日間の中期体験」の2コースから選べます。

復興が進む南相馬市は、スマート農業に取り組む先進的農業法人が多い地域です。農業体験を通じて地域農業と関わりながら、ぜひ、目指す農業を見つけてくださいね。

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