【福島県大熊町】最新設備を備えた大型のイチゴ植物工場を建設中。復興への新たなスタートをイチゴにかける。

今なお全町民の避難が続く大熊町。厳しい状況にある中で、避難指示解除後を見据えた町の復興事業として高い関心を集めているのがイチゴの植物工場での栽培事業です。広大な敷地での建設が進む植物工場の機能や設備等について、またイチゴ栽培事業の展望やそこに懸ける思いについて、町のキーマンにお話を伺いました。

目次

避難指示解除に向けて、町役場庁舎の建設など着々と帰還への準備が進行中

福島県浜通り地方のほぼ中央に位置する大熊町。2011年の東日本大震災に起因した福島原子力発電所の事故により町内全域が避難指示区域となり、その際の放射性物質の汚染によって、2018年現在においても全町民がいまだ避難中。行政を担う町役場も会津若松市といわき市に出張所を開設、郡山市に連絡事務所を置いている状況です。そのような厳しい状況ですが、2019年中に避難指示が一部解除される見通しであり、町では帰還に向けた準備を着々と進行。国による放射性物質の除染が実施された大川原地区を復興拠点と位置づけ、新たな町庁舎を建設中。その他にも公営住宅や商業施設、交流施設、入浴施設などの整備を進めています。

また、避難指示の解除にあわせる形で、2019年には常磐自動車道に大熊ICが開設予定。2020年にはJR常磐線も運行再開が予定されており、復興を加速させるアクセス環境の整備も進んでいます。交流人口もより一層増えることを見据え、町では帰還者にくわえて、移住者の呼び込みにも注力。2027年の居住人口4000人を目標に掲げています。

2019年4月の稼働に向けて、2.8haの大型イチゴ植物工場を建設中

町が復興を遂げていく上で、以前からの主要産業である農業は欠かせない産業。しかしながら、広く放射性汚染された土壌の問題にくわえて、たとえ作物から放射性物質が検出されなくとも販路の確保が極めて難しいことが見込まれるという状況をふまえて、町が目をつけたのが植物工場でのイチゴ栽培。約4.8haの広大な敷地面積に太陽光利用型高設養液栽培施設を現在建設しており、冬春に収穫する「一季成りイチゴ」と夏秋に収穫する「四季成りイチゴ」を栽培する計画です。

また、約30aの育苗施設や約10aの集出荷管理施設などを整備。最新技術を駆使した栽培で、安定的に収量を確保できる新産業の創出と同時に、帰還町民の雇用創出や、次世代の農業者育成を担う事業として高い注目を集めています。2019年4月からの稼働開始予定に向けた準備を整えている、まさに町の復興シンボルとなる期待を込められた存在です。

太陽光と人工光を併用できる最新型設備で、継続可能な農業モデルの確立を目指す

この町の復興にとって大きな意味を持つイチゴ栽培事業を計画立案段階から牽引してきたのが産業建設課の徳田辰吾さんです。

徳田さんは前職では農業生産法人で生産管理、品質管理、販売管理など、幅広く管理業務に従事。その経験を買われて入職。工場の設計の段階から、栽培技法の調査・確立など、あらゆる面で先頭に立って事業を推し進めています。
「作物を栽培していく上で非常に重要な要素のうち温度や飽差、Co2に関しては従来の栽培施設でも大抵管理可能なのですが、この工場ではくわえて光も管理できるところがポイント。太陽光と、密閉型工場で使われるLEDによる人工光とをすべての圃場で併用できる工場は他にはなかなかありません。ハウス内環境を制御できることで、天候に左右されにくい栽培が実現できます。年間を通して安定的な生産を可能にすることにより、継続可能な農業経営モデルの確立を目指していきたい。」と徳田さんは目標を話してくれました。

従業員が安心して働ける環境づくりが基本方針。新たなメンバーも随時募集中

また、イチゴ植物工場では、品質、収量、価格、経営の安定化と並んで、大きな意味を持つのが雇用の安定。そのためにも、そこで働く方々にとっても身体への負担が少ない環境づくりを基本方針とするそうです。

「例えば、植物工場では、ヒートポンプを活用することで温度調整ができますが、イチゴの生育のみを考えた温度管理を図るのではなく、そこで作業するメンバーのことも考えたバランスのいい温度管理などを考えています。」と徳田さん。

2019年4月からの工場稼働に向け、現在6名のメンバーがその準備を進めていますが、さらなる新規メンバーも継続的に募集中とのこと。イチゴ工場のみならず、すべてのことがまったく新しいスタートを切り出す大熊町。ぜひ、新設されるイチゴ工場や、新たな環境でのスタートに興味のある方は一度問い合わせてみてください。

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【問い合わせ先】福島県大熊町役場 産業建設課
産業建設課 主事 徳田 辰吾
福島県いわき市好間工業団地1番43号
TEL 0246-36-5671
E-mail tokuta-shingo@town.okuma.fukushima.jp
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