【福島県飯舘村】『までいライフ』を満喫! 自分らしくいられる場所
『までい』とは、「手間暇を惜しまず」「丁寧に」などの意味がある福島の方言です。阿武隈山系北部にある福島県飯舘村には、この『までい』な暮らしが息づいています。飯舘村は、高原地帯の冷涼な気候で、野菜や畜産、花卉などの農業が盛んです。近年では、ゆったりとした暮らしや子育てしやすい環境、多様なニーズに寄り添った支援策により、飯館村に移住し、就農する方が増えてきています。ここでは、村外から移住し、カスミソウ作りを始めたばかりの花井さんと、約50年間農業に携わり、飯舘村を見守り続けてきた高橋さんに、飯舘村の農業の魅力、『までい』ライフの魅力について、お話を伺いました。
目次
自由に、自分らしく子育てをするために。会社を辞めて、花農家になる
「子供が熱を出しても、誰かに気を遣わなくてもいい。いつもより準備に時間がかかって、仕事の開始時間が遅れても良いのです。会社勤めの時よりも、余裕ができました」。そう語ってくれたのは、カスミソウを作り始めて1年目の花井由貴さん。以前は、福島市の工場で働いていました。
花井さんは、子供3人を育てるお母さんです。これまでは、子供の事情で早退する度に、会社の同僚に申し訳ない気持ちになり、常に気を遣って過ごしていたそうです。
そんな時にテレビで、トマト栽培を始めて子育てに合わせた働き方をし、ビジネスとしても成功させている女性を見ました。「これだ、私もやってみよう」と、花井さんが就農を決意しました。
就農場所を飯舘村に決めた理由は、ご主人の実家があったからだけでなく、福島県から『原子力被災12市町村農業者支援事業』で費用の75%の補助があり、さらに飯舘村からプラスで5%、合計80%もの補助があったからだといいます。「これだけの補助が出ることで、やるなら今だ」という気持ちになったという花井さん。
4棟のハウスにて効率良く栽培管理
その他にも、移住に関する補助もあり、『認定こども園』が無料になることも大きかったそうです。現在6歳、3歳、2歳のお子さんを育てている花井さん。3人のお子さんは、みんな同じ園に通っているとのこと。
飯舘村には、小学校、中学校まで一貫して通うことができる学校が2020年度に開校し、子供を育て、見守る面でも安心だそうです。「学校の先生もとても親身で、上の子はこちらに来てからの方が元気ですね。楽しいと言っています。下の子も、朝に『認定こども園』に送る時に泣かなくなりました。私自身も、時間の使い方に余裕ができたので、以前よりしっかりと子供と向き合えていると思います」と、花井さんは話します。
本当に助けられた、周りの方のアドバイス
8月下旬には、初めてのカスミソウの収穫があります。育てていく上で、分からないことや困ったことは、たくさんありますが、いつも近所の農家の先輩方が見守ってくれているそうです。「分からないことがあって聞きにいけば、皆さん教えてくれます。カスミソウ作りを初めて教えてくれた方は、私のお母さんのような人で、本当にアットホームな村です」。
定植後2ケ月経過後の状態
現在は、ご主人も会社員として働きながら、カスミソウ作りを積極的に手伝ってくれているそうです。今後の目標は、まずは8月の出荷を無事に終えることという花井さんは、「花農家で生活の基盤を整え、子供3人を大学まで進学させること、また夫婦仲良く暮らしていくことができれば」と語ります。
飯舘村に移住し、カスミソウ作りを始めて1年目。多くの人々の支えと、子供の笑顔、何より自分のやりがい、毎日幸せを感じながら、一歩一歩前へ進み続けている花井さんでした。
飯舘村で、農業を続けて50年
飯舘村で、トルコギキョウやアルストロメリア、カスミソウなど、多くの花を育てている高橋日出夫さん。今年で70歳、農業を始めて約50年になるそうです。農業を始めたきっかけは、カリフラワーに感動したことから。「両親が農業をしていたので、農業高校に通いました。そこで初めてカリフラワーを見た時に感激しました。キャベツのような葉の中に、白い房があって。これは面白いと思って、卒業後すぐにカリフラワーやレタスなどの野菜を作り始めました」と話す高橋さん。夢中になって野菜作りに取り組み、その後、県北や二本松の農家などと協力し、減農薬の農産物の出荷を始めたそうです。また奥様の要望もあり、花作りも始めました。
震災後も農業を守り、農業を楽しむ
しかし、2011年の東日本大震災による原発事故の影響で、約6年間村外で避難生活を送ることになりました。2017年に避難指示が解除(一部を除き)された時は、飯舘村で真っ先に農業を再開しました。「避難生活を送っていましたが、ちょうど借りている住まいに広い作業場があって、近くに50a位の畑があったんです。技術、知識、体力はあったので、そこでトルコギキョウやストックを栽培しました。だから震災があっても、私には、農業から離れる時間はありませんでした。しかもそこで育てた花も、とても良く育ち、奇麗に咲いてくれたんです。いろいろなことが良い方に回っていました。友人から、野菜や花を育てるのに良い堆肥をもらったこともありました」と、穏やかな表情で語ってくれる高橋さん。
「私の原動力は、飯舘村と農業が好きという気持ちです。この村の自然を見ると、ほっとします。ストレスを感じることは、まったくありません。鳥もいて、ホトトギスが鳴くと、ブロッコリーの収穫の合図なんです。避難生活から戻って来た時、やっぱりいいなあと実感しました」と話す高橋さん。村では、区長もしており、多くの人に慕われています。移住してきた方に対して、自分から率先して指導することはないそうですが、何か分からないことを聞かれた時には、応え、その後も、ずっと気にかけているそうです。
ハウスで順調に成長するアルストロメリア
「移住してきた人は、自分でいろいろ考えることができるから、農業が好きだったらうまくいくと思います。大切なのは農業が、作物が好きなこと、それだけです」。そう自分の農業への思いを噛みしめるように語ってくれました。
美しい自然と温かな人に囲まれながら、自分らしい『までい』ライフを送ることができる飯舘村。まずは、飯舘村に一度訪れて、その魅力を感じてみてください。
なお、飯舘村は8月4日に東京で開催される『マイナビ就農FEST』に参加します。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
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