相双地域で実際に就農した方や先輩就農者にインタビューしてみました。農業経験がまったく無かった若い力も続々と活躍しています。
夢を諦めず、30歳で農業への挑戦を決意!小高で築く農業生活
株式会社飯崎生産組合 大隅知則さま
南相馬市小高区で水稲や大豆、タマネギなどを生産している「株式会社飯崎生産組合」にお勤めの大隅知則さん。元々農業に興味があったことから、高校卒業後は東京農業大学に進学。主に農業分野における益虫(クサカゲロウ類)の生態について研究されていました。大学卒業後は食品企業に就職し、一度は農業以外の企業に勤めましたが、30歳のタイミングで今後の人生をどう生きるか深く考えるようになったそうです。たくさん悩みに悩んだうえで、元々興味のあった農業に挑戦することを決意し、令和4年3月に退職。その後、福島県職員であったご友人に「農業がしたい」旨を相談したところ、経営が安定しており、かつ農業初心者への指導が可能な法人として、「株式会社飯崎生産組合」を紹介いただくことに。飯崎生産組合での3か月間の長期研修を経てから、令和5年1月に雇用が決定。こうして大隅さんの農業への挑戦が始まりました。
相双地域は農業法人等での農業研修の実施や、県外移住者対象の就農・移住支援制度(家賃補助等)がとても充実していることもあり、大隅さん自身も実際に、福島県の「お試し就農」事業を活用。3か月間の長期研修で作業に従事することができたことが、就農に向けて前向きに検討できるきっかけになったと言います。
東京で食品企業に務めていたときと比較すると給与は下がったものの、相双地域は物価や家賃も安く、また県外移住者対象の南相馬市の家賃補助も受けられるので、安定した生活水準を保てているそうです。仕事は8〜17時の勤務で、残業もほとんどないため、ゆとりある時間を過ごせている大隅さん。3食自炊し、早寝早起きという規則正しい生活ができ、前職にお勤めの時はストレスなどで夜になかなか寝付けない日もあったそうですが、現在は仕事のほどよい疲れでぐっすり眠れている生活を送っているそうです。趣味の釣りも十分楽しむ時間が持てて楽しい毎日を過ごされていると大隅さんは話します。
「仕事は自然相手の仕事のため、自分の計画通りにいかない時もありますが、逆にそこが面白いです」と笑顔で語ってくださった大隅さん。農業を目指す就農者へのアドバイスも伺いました。
「分からないことは出てくると思いますので、たくさん質問をすることが大事です。教わる気持ちをもって、わからないことはわかるまで聞く姿勢をもつといいです。自分だけでなく、受け入れ側もどんな人かお互いに知らないため、初めは緊張することはあると思いますが、一歩踏み出してコミュニケーションをとることが大事です」
相双地域は担い手の高齢化が進み、農地の手放しが多い場所。自然豊かで魅力あふれる地域で継続して営農できる環境を作り、そして次世代農業を繋げていけるよう、これからも精一杯学びながら農業を続けていきたいと語ってくれました。