相双地域で実際に就農した方や先輩就農者にインタビューしてみました。農業経験がまったく無かった若い力も続々と活躍しています。
営農再開がゴールではない。楢葉町から新たな農業スタイルを発信していきたい
株式会社福島 しろはとファーム 内田政樹さま
「日本の農業をステキにしよう」というスローガンのもと、日本各地でさつまいもを栽培し、加工、販売までをおこなう白ハトグループ。2017年からは楢葉町でさつまいもの実証栽培を開始しました。2018年に10ha、19年は30haの農地での栽培を行ないました。現在、楢葉町のさつまいも栽培を管理している内田さんは宮崎県出身。これまで白ハトグループでさつまいもの栽培をはじめ、バイイング業務を中心に行ってきました。東日本大震災後、宮城や岩手で支援活動を行う中で、“福島でさつまいもメーカーとしてできることはないか”と考えるようになったといいます。「私の会社は思いがあれば挙手制でプロジェクトをやらせてくれる会社です。被災地の農家の方の話を伺っている中、何か自分にもできないかと思い、家族を説得し楢葉町に来ました」。
現在は内田さんを中心に、地元の方とさつまいもを栽培しています。「昔は農業というと、汚いとかマイナスのイメージが多かったのですが、私たちが目指しているのは“キレイ、気持ちいい、かっこいい”農業。農作業をする時に着用するつなぎも赤やオレンジなどカラフルなものを使用。自動運転ロボットトラクターや農業用ドローンなどの機械も多く導入し最先端の農業を目指しています。新しい農業のスタイルで若い方にも興味を持って欲しいと思っています」。
現在、楢葉町は帰還率が50%を越えて、水稲などの農業を再開する人も増えてきています。内田さんは自身が宮崎県出身だからこそ発信できることがあると語ります。「来年は50haの農地でのさつまいも栽培を視野にいれています。3年目で50haでの規模で栽培をするというのはこれまでの経験でもありません。楢葉町はJヴィレッジもあり、温泉もある、鮭も美味しい。魅力がとてもある町です。今後さつまいも農業を通じて、楢葉町のたくさんの魅力とともに、多くの人が働ける、来る町にしていけたらと思います」。
楢葉町は営農再開がゴールではない、新たな価値を創造、発信することができる場所だと、内田さんのその思いは、共に働く人、町の人へ届き始めています。