相双地域で実際に就農した方や先輩就農者にインタビューしてみました。農業経験がまったく無かった若い力も続々と活躍しています。
地域でも数少ない、セリ農家として就農。新たに、春セリの出荷にも取り組む
遠藤明朗さま
福島県浜通りでも、3軒の農家しか出荷していないというセリを主要作付品目として、新規就農を果たしたのが、相馬市の遠藤明朗さんです。遠藤さんの実家では、元々家業として農業を営んでいましたが、明朗さんもサラリーマンとして働く傍らで、農業を手伝っていたとのこと。2年ほど前に母が体調を悪くし、入院したことをきっかけに会社を辞め、専業で農業に取り組むことを決心しました。
作物は、米を約1.5ha、夏場にかけては、キュウリを約5aほど栽培しているそうですが、メインとなっているのは、秋から冬場にかけて約30a作付けているセリ。近年、セリの需要が高まっていることを背景に、今年から規模拡大のため、春先まで出荷できる春セリも試験的に導入したそうです。遠藤さんは「今はまだまだですが、やり方によっては、農業一本でも十分に稼ぐことができる」と、手応えを語ります。
市場からも高い評価を受けている遠藤さんのセリですが、品質の高さのポイントは、セリを育てる上で欠かせない水を惜しみなく使うことができる環境とのこと。遠藤さんの父親が作った井戸があるので、奇麗で豊富な水量の湧水を活用できることが強みとなっているそうです。また、遠藤さんが力を入れているのが、仲間づくり。JAのバックアップの元、同じセリ農家と月1回勉強会を開いて、知見を共有するほか、他地域から講師を招いて新たな見識を深めるなど、地域のセリ産地としてのブランド化を、仲間と共に積極的に取り組んでいます。
「セリは一度育て始めたら種代もかからないし、管理も比較的楽ですが、収穫期は毎日30㎏ほど採れますので、収穫から出荷までが大変です」と語る遠藤さん。「今は収穫期に人を臨時で雇って手伝ってもらっていますが、近い将来には人を増やして法人化も見据えていきたいですね」と、目標を話してくれました。